わたしに何が起こったか!!

暴走族・チーマー・友人の自殺・薬・DV・海外 
若いころに私起こったすべてを書こうと思いました。

海外 AUS その10 死と北上

「なり」の死は衝撃的だった。
なぜ親がそのことを知っているのかも聞かなかった。
お花を出すという内容だったと思う。
すべてを親に任せた。
その事実をAUSの空の下で聞いたことが現実なのか夢なのかわからなかった。
今思えば夢にしたかったんだと思う。


私は「なり」のことを考えない様にした。
日本の事を考えない様にした。
今目の前にある楽しい事だけに集中した。


ただ生きる意味や生きている理由について考えるようになっていた。
前向きな考えでは決してなく、生きている意味が分からなくなっていた。





北上するにあたり取り急ぎお金が必要だった。
ただ私は観光ビザで働けるビザがなかった。
だから日本でいう日雇いのようなバイトをした。
路上でアクセサリーを売る人の内職でネックレスを作ったり、コアラの着ぐるみを着て募金活動したり、引っ越しの掃除のアルバイトをしたり2週間程度だったが$1500ほど手に入れた。


そしていよいよタカと北上する日になった。
まずはゆっくり海沿いを北上して波のいいとことでステイしようと出発した。


一日目の町につき波に乗ってmotelに泊まった。
ご飯もその日は買ってきて食べた。
夕方6時ごろにはすでにやることがなくなった。
そうなったらやることは一つ
ネタを吸う。事だった・・・・


ここからネタと波の毎日が始まる。。。

海外 AUS その9 親と「なり」

タカと北上することを決めた。
久し振りに親に電話をかけて残り3か月AUSで過ごすことを伝えた。


親はお金が足りてるのか?どこに住むのだ?などといろいろ聞いてきたが私は大丈夫!と押し切った。


その時親が「まるしま なりこ」って子知ってる??と聞いてきた。
私は少し考えた。すぐには思い出せなかった。
しばらく沈黙の後「中学校の同級生??」と母親に聞き返した。
母は「うん・・・」と言った。


私と「まるしま なりこ」は一度も同じクラスになったことはなかった。
ただ中学の時に遊んでいた小松崎のクラスにいた子だった。
皆から「なり」と呼ばれクラスでも少し派手なほうで、髪も金髪にしていたし、どっちかというと不良と呼ばれる方にいる子だった。


私は小松崎を呼びに行ったり小松崎と話しているときに「なり」が通ったりしたら話す程度だった。
中学を卒業してからも町や駅で会えば軽く世間話をする仲だった。
人懐い笑顔でいつも「元気~」と声をかけてきた。


最後に会ったのは私がクラブで遊んでいる時期で、パーティー会場に向かおうと駅前に行ったときに駅のロータリーで季節はずれの浴衣を着た女の子がいた。
それが「なり」だった。
紺色の少し大人っぽい浴衣に髪をサイドに上げ、耳に垂れさがるタイプの先っちょに☆がついているピアスを付けていた。
「なり」は私に気が付いていつもの笑顔で「元気~!!」と話しかけて来た。
私は「おう!」と答え、どこに行くのか聞いた。
「なり」はニコニコしながら「彼氏と祭りにいくんだ。彼が迎えに来てくれるんだ!」と嬉しそうに言った。
「ピアスがかわいいね。」なんて話していると白いヤン車が私たちの脇で止まった。
助手席の窓が開いて「なりっ!!」と呼んだ。
ちらっと見えた人は短髪でチョッとイラついている感じの男の人だった。
それが「なり」の彼氏だった。
「なり」はイラついている感じの彼氏に嬉しそうに手を振って私に「じゃ~ね~」と笑顔で言って車に乗っていった。
それが最後に会った「なり」との記憶だ。


私は母に「で、どうしたの?結婚するの?」と聞いた。
この時代は携帯が出たばかりで新しい友人たちは携帯の番号を知っていたがあまり連絡をとらない友人たちは家電に掛けてきていた。
だからてっきり結婚の報告かと思った。


母は「亡くなったらしい。」と告げてきた。
私は黙った。
あんなに元気だったのになんでだ??そう思った。
母は続けて「事故だったの。彼氏の車に轢かれちゃったみたい」と



・・・・・・・・・・・・・



私は言葉が出なかった。


その日「なり」は彼氏と別れ話をしていたらしい。
「なり」の家まで彼氏が来て「なり」の親に2人で話し合いたいと告げ、
「なり」を自分の仕事の車 2tのダンプに乗せて出かけた。


その日は大雨で彼氏は「なり」を連れ中学校の側に行き、車を止めて話し合いをしていたんだ。
「なり」と彼氏は言い合いになって「なり」は車を降りた。
雨で彼氏は「なり」が見えなかったんだ。
車を動かしたら何かにぶつかったと思ったがそのまま車を動かした。
ガタンと音がしてネコかと思って車を降りたらそこにはもう動かなくなった「なり」がいたんだ。
彼はパニックになって「なり」の親に電話を掛けたんだ。
お父さんは急いで救急に連絡して自分も現場に駆け付けた。
そこは血の海だったそうだ。雨で血が随分と広がっていたのかもしれないと。
雨音で「なり」の悲鳴もかき消されたのかもしれないと。
彼氏は救急車が来ても父親に促されても「なり」を抱いて離さなかったそうだ。
「なり」の顔は潰れてしまっているらしく葬儀も密葬にするということだった。



そこまで一気に母が話した。
私は黙って聞いていた。聞いている間「なり」笑顔とゆれる☆のピアスばかりが思い出された。


海外 AUS その8 回避と決意

トシの目をジーと見たまま沈黙の時間が過ぎた。
とても長く感じた。
トシは体を私の上から動かしながら「な~ンだよ。嫌われるのは困るな」
と言ってどいた。


私はすぐに体を起こし板を持って
「さぁ 海にいきますよ」と言って玄関にむかった。
トシは「おっさっきぃ~」と言って走って海に行ってしまった。


心臓がバクバク言っていた。
良かった。本当にそう思った。


そして海に向かった。波はあまり良くなく入っている人もほとんどいなかった。
砂浜でタカに会った。波がないから上がってきたところだった。
タカに今あったことを話した。
タカは「ごめん」と誤って、俺が家でお前を待っていれば良かったと言ってくれた。
そして砂浜で座って少し話をした。
季節が変わりこれから寒くなっていくばかりだから北上しようと思うと。
波を乗りながらブリスベンを目指す旅に出ようと思うと。オーストラリアは南半球なので北へ向かえば向かうほど気候は暖かくなる。
一緒に行こうと思っていた人に彼女ができてしまい一緒に出られないので一緒に行かないか?ということだった。


私はタカのいなくなったあの家でやっていくことがきっとできないだろうと思った。
だからと言ってまた拓郎のところに戻ることもできなかった。
タカと一緒に行くことを決めた。
2人で行くということはそういうことになることも覚悟しなくてはいけないな。とも思った。
タカはとてもかっこよかった。素直にタイプの男だった。
ただかっこいい男はなにかある人が多かったので気を付けなくては!と強く思ったことを覚えている。